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追補 その三

追補も、その三となれば追補を意味するのか???怪しいところですが、まあそれはそれとして・・・。

その一で、「故障波形に傾向はあっても定型はない」と書きましたが、プラグの異常にも典型的なものから変わったものまでが見られます。
異常波形
上の写真は、スパークプラグが磨耗しエンジンが震えるというような症状の場合によく見られる波形ですが、プラグ不良の典型例と言えるものです(以前にも掲載)。

ところが、プラグの不良は磨耗だけではありませんね。燃焼室に混入したエンジンオイルで汚損された場合、スパークラインにかなりの乱れが生じます。アイドリングでは一見正常に見えましたが、エンジン回転数を上げると下の写真のようにスパークラインが大きく乱れます。(第三気筒)
異常波形
日産・クリッパー(三菱OEM)のエンジン不調で、他業者からの依頼で診断したものです。スパークプラグを交換したものの、エンジンの震えも止まらず、吹き上がりも悪いので診て欲しいというものでした。
正常波形
問題のない他の気筒(第二気筒)と比べても、その乱れの激しさがよく判りますね。

更にこの状態が進行しますと、プラグがくすぶり出し、イグニションコイルの異常かと思えるような波形が現れる場合があります。
異常波形
*フォルクスワーゲン・アウディ*
こちらも燃焼室にエンジンオイルが混入したものです。根本的に、燃焼室へのオイル漏れを直さないことには、トラブルの解消は望めません。

これまでの記事で、スパークプラグの汚損による異常の例を掲載していなかった(はずな)ので、追補に加えておきます。

authorized by 浅田 純一
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追補 その二

前回の記事から十日も経ってしまいました。自動車は完全冷機からエンジン始動しましたが、私は始動不良です・・・。

冗談はさておき、冷間時に不調ということであれば、必ず同じような状況作りから始めなければなりませんが、点火波形診断に関わらず注意すべきことは、ユーザーに成りきるということです。

 われわれ自動車整備士は、たいていの自動車をうまく乗りこなしてしまう。「しまう」と書いたが、ここがポイントで、たとえば「信号などで停止しようとするとエンストする」という症状で入庫した場合、できるだけそのユーザーの乗り方に近い運転で症状を確認するようにすべきで、一概に「お客さんの乗り方が悪いですよ」といってしまっては、なんにもならない。ユーザーの千差万別な感じ方を汲みとり、その不満を解消するのも、プロの仕事だ。(自動車工学実践基礎シリーズ・2 P7~8引用) 
拙著よりの引用ですが、ここを忘れては正しい診断はできません。

今回の場合、ユーザーは女性で、お電話をいただいた時に”アクセルがかたい”という表現をされました。この言い回しには色々な解釈が可能ですから、こちらから問いかけて状況を把握しないといけませんね。異音がするのか、走行状態はどうかなど、その辺は皆さん手抜かりないとは思いますが。

結局のところ、今回は冷間時ドライバビリティ不調ですので、その状況下での波形診断が必要です。運転席に座りアクセル(ペダル)がかたいという感じを確かめ、その中で波形を診ないことには誤診につながる虞があります。
異常波形
上の異常波形も、アイドリングでは正常波形と同じような姿を見せましたが騙されてはいけません。今は電子スロットルが増えていますから二人一組で作業しないといけないでしょうが、大切な点です。

状況作りにより、違いを見出す典型例を見ていただきましょう。
NO1.jpg*第一気筒
NO2.jpg*第二気筒

上の二つの波形は、青森の須藤さんから送っていただいたものですが、アイドリング状態では差を見極めることは困難ですね。実は、アイドリングでは全気筒(4気筒)全てがほぼこのように同じ波形です。

そこで、レーシング時の波形をとっていただいたものが下の二つです。それぞれ順に第一気筒、第二気筒のものです。
レーシング
正常波形
正常な第二気筒(下)に比べ、第一気筒(上)の波形には、スパークラインのバラつきや減衰部はじめの突きあがり方などに違いがあることを確認できますね。

もう一つ、第四気筒の波形もご覧ください。第四気筒にはエンジンの機構上、スパークプラグがくすぶり易い傾向にあるようで、スパークラインの傾きなどから、その様子も見て取れます。
第四気筒
一見、どうも無いように見えても、トラブルは隠れているということですね。「積極的に”病状”を引き出す方法」を考えていただくことも大事な診断技術です。

authorized by 浅田 純一

追補 その一

点火波形の診断方法について、少し書き足しておきたいと思います。

まずはじめに、「故障波形に傾向はあっても定型はない」ということです。例えば、下の例をご覧ください。
異常波形
冷機時エンジン不調で入庫されたものですが、このような波形は一般的に(という言葉が、自動車整備業一般に通用するのかどうか?)スパークプラグがダメになった際によく見かける波形ですね。いつものように、HOLDモードの上に写真だけでは判別不可ですが、実は波形の動きがプラグ異常の場合とは異なります。

過去の「点火波形」記事を遡って色々と見比べていただけるとありがたいのですが、これはイグニションコイルがダメになった波形です。回転数をご覧いただきますと、低速で走行しているような状態ですね。減衰部もきれいに出ていますのでプラグ不良と間違えそうですが、アイドリング時にはスパークラインにプラグ不良のような変動がありません(って言うても、動いてない波形では判らへんがな)。

暖機後はエンジンの吹き上がりもよく、調子のいいエンジンのような顔をみせますが、エンジンが冷えると不調です。よって当然の如く、ユーザーのお話通り、診断の条件を調えなければなりません。完全冷機状態からエンジン始動!

そしてどのように診断していくのか・・・(今夜は眠たいからここで終わり)

authorized by 浅田 純一

微妙な違い

またもやルノー・カングー(平成26年式・KWK4M)、走行46000kmのエンジン不調で入庫されたものです。症状は、低速走行からの停止時にエンストしそうになるというものでした。

スキャンツールでの総合診断では、一番と三番気筒の失火カウンタが少し上がるというものでしたが、特に一番に問題があるようなデータが表示されました。

早速に、イグニションアナライザでの点火波形診断をしますと、一番気筒に下のような波形が現れました。
整備前波形
前回のカングーほどに顕著ではありませんが、こちらもやや希薄な傾向がみられます。
整備前
同時に、燃料噴射波形も観測しましたが、噴射時間は約3.0msといったところでした。

手持ちのデータがありませんので、こういった際には、約2000rpm付近でのエンジンが安定する回転数の噴射時間を参考にします。その時間は、2.2ms~2.3msでしたので、アイドリング時の噴射時間をこれに近づけることを目標とします。

例によって例のごとく、アサダメッソドによる燃焼室の洗浄を行いますと、噴射時間に変化がみられました。
整備後
アイドリング時では2.7ms、2000rpm時でも1.9msという風に変わりました。僅か0.3ms、つまり一万分の三秒という非常に小さな違いが、点火波形にも影響を及ぼします。
整備後波形
本当に微妙な違いですね。そもそも噴射時間が3.0msと長くなっていたのは、混合気が希薄であったため、それを補おうとECUがインジェクタに指令していたものです。その希薄であるところの原因を取り除く処置をしたのですから、噴射時間にも点火波形にも変化があって当然ということですね。

このカングーはエンジンオイルの交換管理が少し悪いことで、より燃焼室が汚損されたものと考えられます。エンジンオイルの定期的な交換は、トラブルを未然に防ぐ手立てでもありますから、ユーザーの皆様にはキッチリとしたエンジンオイルの交換をしていただくことをお勧めしているわけです。

さて、本年一月より、これまで一年にわたり(と言っても途中かなりサボっていますが)、イグニションアナライザやオシロスコープを用いた記事を書いてきました。気がつけば、”点火波形”の分類も30回を数えることとなりました。そもそもは、自動車工学・実践基礎シリーズのオシロスコープ入門が購入できなくなったことで、各所よりの要望に応える形で私の知りうることをお知らせしようとしたことが発端でした。

これまでの記事を読み返していただくことで、基本的なことは十分に理解していただけることと思います。来年には、また新しい機器がアサダ自動車に加わる予定です。そちらの機器なども用いて、今後はトラブルシューティングなどでもお役に立つことを披露できればと考えています。

authorized by 浅田 純一

結果報告

令和元年12月19日の記事、カングーのエンジン不調に関する、その後の結果報告をしたいと思います。

まず、先日の異常波形を再度ご覧ください。混合気が希薄な場合に現れる波形でした。
異常波形
これは、点火エネルギーが燃焼に使われ切ることがなくなるため、減衰部の前に大きな変動が見られるものでした。

故障の原因は、第二気筒のフュエルインジェクタが不良であったため、十分に燃料が供給されていなかったことでした。インジェクタ交換後の波形は、下にありますように非常にきれいなものに変化しました。
正常波形
異常波形と見比べていただくと、違いが判っていただけるかと思います。あるいは、それほどに差はないように感じるかも知れませんが、エンジンの燃焼室という小さな空間で刹那に繰り広げられるダイオナミックな現象は、それほどに微妙なものであることの証でもあります。
噴射波形
整備前、アイドリングで4.7ms→2000rpm時3.5msだった噴射時間も、整備後はご覧のように、同じく3.5ms→2.8msと変化しています。

ロードテストでのドライブフィーリングも格段に良くなりました。ユーザーにも喜んでいただけることでしょう。

authorized by 浅田 純一
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