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微妙な違い

またもやルノー・カングー(平成26年式・KWK4M)、走行46000kmのエンジン不調で入庫されたものです。症状は、低速走行からの停止時にエンストしそうになるというものでした。

スキャンツールでの総合診断では、一番と三番気筒の失火カウンタが少し上がるというものでしたが、特に一番に問題があるようなデータが表示されました。

早速に、イグニションアナライザでの点火波形診断をしますと、一番気筒に下のような波形が現れました。
整備前波形
前回のカングーほどに顕著ではありませんが、こちらもやや希薄な傾向がみられます。
整備前
同時に、燃料噴射波形も観測しましたが、噴射時間は約3.0msといったところでした。

手持ちのデータがありませんので、こういった際には、約2000rpm付近でのエンジンが安定する回転数の噴射時間を参考にします。その時間は、2.2ms~2.3msでしたので、アイドリング時の噴射時間をこれに近づけることを目標とします。

例によって例のごとく、アサダメッソドによる燃焼室の洗浄を行いますと、噴射時間に変化がみられました。
整備後
アイドリング時では2.7ms、2000rpm時でも1.9msという風に変わりました。僅か0.3ms、つまり一万分の三秒という非常に小さな違いが、点火波形にも影響を及ぼします。
整備後波形
本当に微妙な違いですね。そもそも噴射時間が3.0msと長くなっていたのは、混合気が希薄であったため、それを補おうとECUがインジェクタに指令していたものです。その希薄であるところの原因を取り除く処置をしたのですから、噴射時間にも点火波形にも変化があって当然ということですね。

このカングーはエンジンオイルの交換管理が少し悪いことで、より燃焼室が汚損されたものと考えられます。エンジンオイルの定期的な交換は、トラブルを未然に防ぐ手立てでもありますから、ユーザーの皆様にはキッチリとしたエンジンオイルの交換をしていただくことをお勧めしているわけです。

さて、本年一月より、これまで一年にわたり(と言っても途中かなりサボっていますが)、イグニションアナライザやオシロスコープを用いた記事を書いてきました。気がつけば、”点火波形”の分類も30回を数えることとなりました。そもそもは、自動車工学・実践基礎シリーズのオシロスコープ入門が購入できなくなったことで、各所よりの要望に応える形で私の知りうることをお知らせしようとしたことが発端でした。

これまでの記事を読み返していただくことで、基本的なことは十分に理解していただけることと思います。来年には、また新しい機器がアサダ自動車に加わる予定です。そちらの機器なども用いて、今後はトラブルシューティングなどでもお役に立つことを披露できればと考えています。

authorized by 浅田 純一
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結果報告

令和元年12月19日の記事、カングーのエンジン不調に関する、その後の結果報告をしたいと思います。

まず、先日の異常波形を再度ご覧ください。混合気が希薄な場合に現れる波形でした。
異常波形
これは、点火エネルギーが燃焼に使われ切ることがなくなるため、減衰部の前に大きな変動が見られるものでした。

故障の原因は、第二気筒のフュエルインジェクタが不良であったため、十分に燃料が供給されていなかったことでした。インジェクタ交換後の波形は、下にありますように非常にきれいなものに変化しました。
正常波形
異常波形と見比べていただくと、違いが判っていただけるかと思います。あるいは、それほどに差はないように感じるかも知れませんが、エンジンの燃焼室という小さな空間で刹那に繰り広げられるダイオナミックな現象は、それほどに微妙なものであることの証でもあります。
噴射波形
整備前、アイドリングで4.7ms→2000rpm時3.5msだった噴射時間も、整備後はご覧のように、同じく3.5ms→2.8msと変化しています。

ロードテストでのドライブフィーリングも格段に良くなりました。ユーザーにも喜んでいただけることでしょう。

authorized by 浅田 純一

確りと見極める

下の写真は、平成16年式ルノー・カングー(KCK4M)、走行約16万キロのエンジントラブルで入庫された点火波形です。正常に見えますが、実は異常波形です。メーター内のエンジンチェックランプも点灯しています。
異常波形
どこが異常なのか?ということですが、もう一つ、同じ気筒の波形をご覧いただきましょう。
異常波形
赤枠で囲んだ部分ですが、これは混合気が希薄な場合に傾向として現れる波形でしたね。この分類”点火波形”の実験・空燃比 大(燃料が薄い):平成31年1月25日記事にも載せていますが、それと見比べても正常でないことはお解りかと思います。

こちらのカングーは、常に弊社に入庫されているものではありませんが、幸いにも過去の請求書が保管されていました。積算走行16万キロまでには、かなりのメンテナンスが必要であった様子です。ひょっとして、もう一台買えているかも知れません。

本来ならば、まずOBDで故障コードを確認するところでしょうが、天邪鬼の私は点火系統から診ることにしました。普通、国産エンジンの気筒は向かって左から1,2・・と数えますが、カングーは右から順番に数えます(ということをこの診断中に知りました)。上に掲載した写真は、どちらも向かって右から二番目のものですから、第二気筒のものです。当初は、第三気筒かと思っていました。

次にスキャンツールにて総合診断しますと、第二気筒インジェクタ系統不良のコードが映し出されましたが、「えっ?三番とちゃうんか?」と自らの波形診断が間違っているのか?とすら疑いましたが、詳しい人に尋ねると右から順番になっていることを教えてもらえました。知らなかったことを恥ずかしく思い、反省しております。

ということで、オシロスコープによる個別診断に入りました。まずは、正常な第三気筒の燃料噴射波形です。
インジェクタ波形
次に、故障したインジェクタの波形をご覧ください。ECUは正常にアースさせていますが、正常波形のように逆起電力の立ち上がりが見えません。これは、インジェクタのコイルがダメになっている証拠です。
無噴射?
残念ながら、まだ部品が届いていないので修理後の波形はありません。
オシロスコープ
近頃流行の格安オシロスコープ(by カイセ)でも、燃料噴射波形を取り込んでみました。上②が異常波形、下①が正常波形です。ボタンが沢山あって、これまでシンプルなオシロに慣れている私にはかえって使い難いのでは・・・と敬遠していましたが、使ってみれば触りやすいものでした。

初めから高価なオシロスコープを買っても、「どこまで使いこなせるのか」と不安な方々には、入門機器としては価格と機能は合致していてお勧めです。これからも、ドンドン使っていこうと思っています。

スキャンツールは故障箇所の絞込みに、オシロスコープは故障箇所の特定にと、それぞれ住み分けさせる必要があります。どちらも自動車整備に欠かすことの出来ないツールであることは間違いありませんが、使い方の勉強はより以上に不可欠ですね。

authorized by 浅田 純一

10万キロ走行無交換は?

一体どれほどの月日が経っているのか、前回の記事が7月でしたから、約5ヶ月間放置状態でした。決して遊んでいたわけではなく、日々の仕事が忙しかったので、点火波形の記事を書く間がなかったということにしておいて下さい。

最近の自動車に多く使われているイリジウムプラグですが、スズキなど一部メーカーが使っているものは除いて、通常は走行10万キロごとに交換となっています。果たして、それを鵜呑みにしてよいものかどうかというお話です。

自動車工学誌にも書いたことがありますが、白金プラグは10万キロで交換すればよいということを妄信してはいけないという内容だったように記憶しています。イリジウムプラグも同じ様に考えるべきでしょう。
整備前
積算走行67500kmのダイハツ・ミラココア(KFエンジン)ですが、上に載せた波形は、スパークラインが1.0msよりも短くなっています。動画ではないのでご覧いただけませんが、波形が暴れているように観測できます。これは、プラグがダメになりかけている際に現れる典型的な波形です。*エンジン回転数は1290rpm*

次にご覧いただくのは、プラグを交換した後のアイドリング時の波形です。大きく暴れることなく、1.5ms付近で落ち着いています。
整備後・アイドリング
プラグの交換前後でエンジン回転数が違うので、これでは比べたことにならんという方がおられるかも知れないので、同じくらいに合わせて観てみましょう。
整備後
整備前の波形の回転数とほぼ同じくらいに上げてみても、スパークラインの乱れ具合は変わらないどころか、むしろ安定しています。

このブログにリンクしています須藤さんのブログでも、37000km走行のホンダ・フィットのイリジウムプラグがダメになりエンジン警告灯を点灯させたケースが紹介されていますが、故障が発生する前にイグニションアナライザで診断すれば、トラブルを未然に防ぐことも楽になります。

一本2200円と高価なプラグなので、交換するにはそれなりのデータを提示しないと、「なんでこんな高いもん換えたんや。10万キロいけるって書いたあるやないか!」とお叱りを受けるかも知れません。サービスデータはただの紙に書かれたデータに過ぎず、実測した生きたデータに勝るものはありません。

こういった内容の記事を心底同意して心待ちにしているのは、カイセの村上さんでしょう、ねえ、村上さん。

authorized by 浅田 純一

ここを見逃さないように

前回、点火波形について書いたのは5月13日でしたから、二ヶ月以上の時が経っていました。岩手での講習会の重圧に耐えかねていたのかも知れません(ウソです、サボっていただけです)。

さて、今回は福島の佐藤さんから送っていただいた波形をご覧いただきます。エンジン不調で入庫され、バルブクリアランス調整などを施した後も改善が見られないということで、掟破りのアサダメソッドにて燃焼室を洗浄された前後の波形です。
処理前
*燃焼室洗浄前*

要求電圧もさる事ながら、スパークラインは火炎核の形成にまつわる大切な要素でしたね。先に岩手でも話しましたが、一瞬の強い火を紙に当てても直ぐには着火しませんが、弱い火でもジワジワと紙を炙るようにすれば燃えますね。要求電圧とスパークラインの関係は、いわばそういったものと考えていただくと理解しやすいのではないでしょうか。

上の写真では、スパークラインに乱れがありますが、これが燃焼室の汚損の場合に現れやすい波形です。スパークラインの最後尾も角が立ち、燃焼が希薄であることを物語っています(物語るって大層な)。いつもイライラして余裕のない、私のような不細工な波形です。この波形だけを観ていては、どこがアカンのか?解りませんが、そういう意味で常に車種ごとの正常波形をストックしておくことが財産になるわけですね。

処理後
*燃焼室洗浄後*

スパークラインも長くなり、苛立ったような角も丸みを帯びるようになります。何よりもスパークラインがキレイです。メカトロクラブみちのく副会長の須藤さんのように美形になりました(チキショウ)。

このように点火波形を美しくする整備、まるで美容整形医師のように、私たちは真のカードクターで在らねばなりません(おぉ、カッコようしめたで)。

authorized by 浅田 純一
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