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バッテリトラブル

バッテリ上がりによる始動不能や、バッテリ劣化による始動不良が最も多い時期は真夏です。自動車ユーザーの皆さんは、「冬とちゃうの?」と意外に思われるかも知れませんが、絶えずエアコンを使うことで疲弊するのでしょうねぇ。

それに、バッテリは熱によっても劣化は早まります。真夏のエンジンルームは非常に高温になっていますから、内部の物質が高熱の影響を受け、サイドショートという現象により、「さっきまでちゃんとエンジンかかってたのに・・・」急にダメになるということも起こります。
サイドショート
メカニズムは難しい(というか説明が長くなる)ので、一般のユーザーは、そういうこともあるのだということを覚えておいていただくと良いかと思います。

上の写真のように、グリッドという格子状の板にペースト状に塗られている物質が、土壁(って最近見るか?)から土がポロポロと落ちるように沈み込み、横に回りこんで+-各々の極にまたがることで、短絡(ショート)してしまうというもの

そして、この真夏を乗り越えたバッテリが、ちょっと暑さの落ち着いた今頃に、充電系統のトラブルとして多く発生することもしばしばです。現に、昨日だけでバッテリを3個交換しています。で、問題はここからですが、自動車整備工場でバッテリを交換しても、充電系統の点検診断をちゃんとしていない店の多いことに驚いています。
充電系統
20年前の平成12年・6月号~7月号の自動車工学誌(連載)に、始動・充電系統の実践的故障診断という特集記事が組まれたことがありますが、そこに充電系統診断マニュアルとして掲載された原図です。*誤植があるので、これを使って間違った診断をしても責任は取りません。誤植が無くても責任は取りませんが。*

当時は、今の様にどの店にもスキャンツールがあるというような最盛期でもなく、サーキットテスタやオシロスコープを使って地道な点検をすることが普通でした。それだけに、こういった診断方法を体に染み付かせるように訓練したものです。

アサダ自動車のお客さんでは、まず無いことですが、整備工場の世代が代わったのか、時代が安さを求めるからなのか、初めてお越しの一見さん(初めて来るから一見やけど)ですと、バッテリ交換のざっとした見積もりを言うと、「なんでそんな高いの!」と言われることが度々あります。

一応ちゃんと説明はしますが、よくよく話を聞くと、「いつも行っている整備工場ではそんな診断料を取られたことはない」とか、「そんな説明聞いたことない」という有様です。ウチの場合、キッチリとした点検シートを渡して克明に説明しますから、見たことも無い紙に最後は納得されますが、”皆どないしとんねんな”という感じです。

技術指導に伺った所ではキッチリとされていると確信していますが、一体どれほどの整備工場が、それを実践しているのか?甚だ疑問に感じる今日この頃です・・・(おそらく、松原ではどこもやってないで、知らんけど)。

株式会社アサダ自動車商会
  代表取締役 浅田 純一
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続・駆使して考える

すでに、佐藤さんが故障箇所を述べられましたのでお判りのように、トラブルの原因は燃料ポンプです。
燃圧計
調子のいい時は3キロある燃圧が、不調になると1キロ足らずまで落ちています。
燃圧異常
燃料ポンプはと言いますと、酷いもんです。何じゃこりゃ?って感じですね。錆び
フィルタが所々、汚濁物で詰まっています。これが燃圧の下がる要因ですが、根本的な原因は燃料タンク内にありました。聞くところによると、このキャリー、過去に燃料ポンプをユーザーが自分で交換したらしいですね。どんな経緯でそうしたのかは判りませんが、中古品での対応だったとのことです。タンクをちゃんと点検しておけば、結果は違ったかも知れないのに。
タンク内
とまあ、後は整備を待つばかりですが、今回のトラブルシューティングで改めて感じたことを書いておかないといけません。

昨日も書きましたが、故障診断に新鋭の診断機器を用いることは今のご時世、当然と言えば当然ですが、そこには盲点があることを忘れてはいけないということです。佐藤さんも新しい機器を手にされ、果敢に難解なトラブルに挑んでおられます。頭の下がる思いです。

ありがちなことですが、新しい機器を手に入れると、それを使ってスラスラと直してみたいという気持ちになることは確かです。イグニションアナライザやuScopeなど、今まで無かったものを使えば診断が楽になることは事実です。マニュアルにない故障診断も可能です。それも醍醐味ではあります。

しかし、最も大切なことは目の前にある故障、それは人間で言えば病気ですが、その治療に携る者として、血液検査の結果やレントゲン写真にばかり目を奪われることなく、対面する患者さんの顔色や姿勢、歩き方など、医師として診るべきことがあるはずです。最近の医者は、患者の方を向かず写真ばっかり見て話をするヤツもおりますが、我々もそんな風ではいけません。

見て、触って、聞いて、自分自身の整備士としてのキャリアを信じ、そこに新しい物を付け加えて総力を駆使する診断を心がけるべきではないでしょうか。自戒の念を込めて、この検証を終わります。

authorized by 浅田 純一

駆使して考える

オシロスコープやスキャンツールを用いる以前には、アナログ機器や自らの五感をフルに利用する、症状別故障診断フローチャートが用意されていました。かなり細分化されたものです。今では外部診断機を使うことがほとんどなので、過去の遺物と考えられているかもしれません。
チャート
上の写真は、私の本に掲載してある”簡易故障診断チャート”の一部ですが、メーカーのチャートが細か過ぎて逐次引用するのがめんどくさい(って言いよるんですわ、周りのヤツらは)ということで、大雑把かつ最重要な項目にまとめてみたものです。

例えば、<燃料系>のところに、燃料ポンプは?*作動しているか、その先には→ポンプの作動音を聞き分けるように書いています。超アナログな、整備士自身を診断機(勘ピュータ)とも捉えているかのような、スキャンツール使用が当たり前の若いメカニックに笑われそうな項目が最初に載せられています。

しかし、こういった原始的とも思えるようなこと、実はこれが非常に大切であり、このような内容を体に染み付かせておくことで、正しい問診が可能になるということを決して忘れてはなりません。

そういった基本事項をツイツイ飛ばしてしまい、スキャンツールやオシロスコープに頼り過ぎることで、危うく誤診しそうになった、あるいは誤診した(何回もやり続けるヤツ知ってます)ということも多々あるでしょう。もちろん、こういった最新機器の必要性を十分に理解しているつもりですが、偏重し過ぎることはかえって問題を引き起こすことになります。

福島の佐藤さんからいただいたデータを下に、危うく誤診を逃れたケースを検証したいと思います。
Gスキャン
上にあるのは、Gスキャンで診たO2センサと燃料噴射時間のデータですが、エンジンが吹き上がらないというスズキ・キャリー(平成15年式・DA63T)の故障です。調子が良いときもあるのですが、急にエンジンがガタガタし出し、アクセルを踏んでも加速できないという症状です。ここまでに、イグニションコイルはアナライザにより異常が発見されていましたので、交換されています。

その内容通り、調子の良いときはO2センサの波形はちゃんと出力され、噴射時間も2msで問題ありませんが、不調が現れるとO2センサ波形はリーン(混合気希薄)を示し、それと同時に燃料噴射時間が約9msにも達しました。

一見すると、正常に見えますが、1DIVあたり2msでの表示なので9msを超えています。とんでもない燃料増量です。このインジェクタ波形を見てあまりにも増量されていたことが、佐藤さんを悩ませた一因となりました。
噴射波形
O2センサはリーン異常を示しているのですが、これほどまでに燃料が増量されていることにより、混合気がリッチ(濃い)になり、エンジン不調を起こしていると佐藤さんは考えられたようです。O2センサ不良で混合気がリッチの際の点火波形ということで画像を送ってもらいましたが、波形はリッチではなくむしろリーンを示していました。

話を整理しますと、O2センサの出力電圧は0.2V固定ということですので明らかにリーン異常です。それにより燃料噴射時間9msという異常とも言える増量が混合気を異常に濃くしていて、原因はO2センサにあると考えたというプロセスですね。

確かに過去の事例で、O2センサの異常により噴射時間が40msにも及んだ例がないというわけではありませんが、この事例はそれとは違います。そして、大きな落とし穴が待っていました。と言うか、こういった事例での落とし穴は、自分で掘っていることが多いのです。それは何かと言えば、基本点検が抜けているということでした。

えっ~っ!?と思うかも知れませんが、診断機器を用いるようになってから、こういうことが多くなっているのは事実です。他山の石とすべきことなんです。そういう私にも実際に笑えない事実があります。内容は恥かしいので書きませんが・・・。

あ~、長くなったので一旦CMいきま~す。

authorized by 浅田 純一

左右で違う

何が左右で違うのか?とお考えでございましょう。違うのは、エアコンの吹き出し口から出される冷気の温度でございます。運転席からの風は、冷気?のような送風といったところでございます。
吹き出し口
運転席側と助手席側で、ウインドデフォッガや足下からの風の温度が、左右で明らかに違っております。走行すれば、運転席からの送風も少しは冷たく感じるほどにはなるという症状でございます。
構成部品
そもそものシステムから、いわゆる高級車のように左右席での温度設定を出来るものではなく、構成部品図を見るとエアダクトは左右一体式であり、場合によっては、ダッシュパネルの脱着を伴なうクーリングユニットの分解整備をしなければならない大仕事を予感させるものでございます。
配置図
車上でのクーリングユニットの配置をよくよく観察いたしますと、思いついたことがございます。いくらほぼ中心にクーリングユニットが配置されていても、エバポレータ(熱交換器)の位置は、やや助手席側に寄っているように見えたので、ひょっとしてと思い、エアコンのクリーンフィルタを外してみたものでございます。
エアコンフィルタ
今回は、交換が少々遅かったようでございました。フィルタを取り外しますと、左右の吹き出し口温度に差がなくなったのでございます。ゲージマニホールドによる圧力検査では、高圧10kg/c㎡・低圧4.1kg/c㎡と、どうも冷媒が目減りしているようでございます。冷媒を補充いたしますと、低高圧ともに正常値を示し、エアコンフィルタの交換により、見違えるような冷え方に変化いたしました。

エアコン冷媒が、経年のサイクルにおける変態(液体→気体→液体→気体・・・・)により破壊され減っていたことと、エアコンフィルタの偏った詰まりが、今回の”左右吹き出し口温度差”を引き起こしていたものでございます。

幸いにも、このお車(ダイハツ・タント:L375S)には、エアコンフィルタが装着されておりましたゆえ、フィルタの交換により症状は改善いたしましたが、もし、フィルタが無いあるいは取り外されたままであったならば、クーリングユニットの分解/清掃を伴なう整備となっていたことでございましょう。

エアコントラブルの多い今の時季、何かの参考になればと考え記事にいたしたものでございます。一つ間違えば、とんでもない方向に進んでしまうエアコンのトラブルシューティングでございますが、安価で直ぐにお客さまにお返しできましたことで、大変お喜びいただけたものでございます。

問い合わせ

昨日も東大阪の方から、自動車工学の「オシロスコープ入門」の本を持ち合わせていないかという電話がありました。これまでもそういった問い合わせが数多く入りましたので、わにまろブログを借りて”点火波形”の記事を書いてきましたが、オシロスコープまでなかなか手が回りません。その辺は講習会にてのお話になりそうです。

イグニションアナライザを用いて波形を取り込んだところ、鉄腕アトムの頭やネコの耳のような形の波形が現れるので、これは異常なのか?というお尋ねがあります。
猫の耳
積算走行9500km、平成29年式のスズキ・ワゴンR(DAA-MH55S)の点火波形です。なるほど、ネコの耳の様に見えますね。イグニションアナライザのマニュアルには、コイルの上部にセンサを当てるように書かれているので、その通りにするとこうなります。そこで、ちょっと簡単な工夫をしてみます(工夫言うほどのモンか?!)。
点火波形
イグニションコイルの側面にセンサを当てると、上の写真のように見慣れた波形が現れます。これで診断し易くなると思います。
コイル
この形のコイル、見た目からして厚くシーリングされているのでしょうね。上部のほとんどが、反応悪いようです。是非お試しを。

authorized by 浅田 純一
管理人

わにまろ

わにまろ
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